2024年11月2日〜3日に開催された『第18回日本薬局学会学術総会』にて、このたび株式会社わかばが大会長を務めました🌱
今大会のレポートと、今回わかばが発表をした演題とその研究内容についてご紹介いたします。
■第18回日本薬局学会学術総会
株式会社わかばと一般社団法人日本薬局学会は、保険薬局における全国規模の学術大会『第18回日本薬局学会学術総会』を2024年11月2日(土)〜3日(日)まで神奈川県横浜市みなとみらいで開催いたしました。本学術総会において株式会社わかばが主幹を務めました。日本薬局学会学術総会は、薬局薬学の発展を図り、医療の質および健康の向上に寄与することを目的とした全国規模の学術総会です。(概要について8月29日のお知らせページにも記載中)
会場となったパシフィコ横浜は、11月2日(土)はあいにくの雨となりましたが、翌日3日(日)には快晴となり、横浜の海のロケーションが映える大会日和となりました。
本学術総会では過去最多となる約8,600名にご参加いただきました!(現地参加:約5,700名/WEB参加:約2,900名)
わかばからも2日間で100名以上の社員が参加いたしました🌱
本学術総会では、「ChatGPTの医療における活用」に関する特別講演のほか、「薬剤師による災害支援活動」や「薬局に必要とされる多様性の尊重」といった企画プログラムでこれからの医療現場の課題・トピックについて、多角的な視点から議論しました。また、22の企画プログラム(講演・シンポジウム等)、13の共催セミナー、口頭発表、ポスターセッションなど、多彩なプログラムとなりました。
参加者のみならず、参画企業数87、演題309と企業数・演題数も過去最多となりました!🎉
■わかばが今大会で発表した演題と内容について
本学術総会にて発表したわかばの演題とその研究内容について簡単に紹介いたします。
■シンポジウム1『これからの薬局経営はどうあるべきか』
弊社わかばの社長杉本より座長と演者の両方を務めさせていただきました。
本学術総会のテーマであえる「薬局の、底力。本質を創る今を。」には、私たちの業界が直面している数々の課題に対する強いメッセージが込められております。シンポジウムでは、現場で働く方から経営者までの幅広い方々を対象に、保険薬局の役割を再認識し、企業戦略の在り方と現場づくりのヒントを提供いたしました。
■ランチョンセミナー2『確実な成果を出す薬局DX〜理論から実践へ〜』
共催:株式会社カケハシ/座長:杉本修康(株式会社わかば代表取締役社長)/ファシリテーター:中尾豊(株式会社カケハシ代表取締役社長)
経営層や管理者のみならず、薬局現場で働いている方々へ「薬局DXとは何なのか?」「経営層や管理者は何を考え、薬局DXを推進しているのか?」を具体的な事例と共に発表するセミナーとなりました。総合討論では弊社の社長が座長を務めさせていただき、ファシリテーターの株式会社カケハシの中尾代表取締役社長とともに議論しました。
■シンポジウム12『より良いプレアボイド報告のために―事例報告のポイントと実践例を交えて―』
わかばではプレアボイド事例を社内で収集し報告するなど積極的な取り組みを日々行っております。プレアボイド報告は「薬物療法において薬剤師が必要である」ことを示すものであり、安全かつ有効な薬物療法を実施するために重要な役割を果たしています。事例報告の知識を増やし、スキルアップの手助けになれるよう、神奈川県薬剤師会に応募した事例を紹介しながらプレアボイド報告のポイントを発表しました。
満席の会場でしたがその中でも以下の言葉が会場に響いておりました。
「実習で薬学生さんから「薬剤師って薬の量を減らすことができるんですね」と言われることがあり、薬学生にもプレアボイドの存在意義が伝わっていないという危機感を非常に感じました。患者さまにも「薬剤師はただ薬を処方するだけ」と思われることもありますが、存在意義や役割を広く一般の方々にも伝わるようにするために、改めて日々の業務やトレーシングレポート、プレアボイドを徹底することが大切だと思います。」
熱い想いが会場の熱気を生んでおりました…!
■シンポジウム13『CBT-A研修プログラムに参加して』
CBT-A研修プログラムの参加者として研修後の実践で問題解決に導くことができた実例や感想を発表しました。ケース報告では、「矛盾した事実(反証)を導くような問いかけをする工夫」が現場での問題解決に至ったことなど、研修で得られるものがいたるところで活用できることを紹介いたしました。
■優秀演題候補セッション『アトピー性皮膚炎治療薬(デュピルマブ注)の使用中における有害事象の実態とその調査』
難治性アトピー性皮膚炎治療薬(デュピルマブ注)は優れた症状改善効果がある一方で、眼障害や注射部位反応などの有害事象も報告されております。これらは患者の治療継続に影響を与える可能性があるため、薬局薬剤師が早期から介入しフォローを行う必要があると考え、その実態についての調査と分析を発表しました。
今回は2年前の学術総会で発表された研究の継続研究として講演発表しました。会場内は受講者が多く立ち見も満員になるほどでした…!
■一般演題『薬剤師の介入による糖尿病患者の治療意識の変革―HbA1c値の改善後に―』
糖尿病患者へ服薬指導を行う際は検査値や薬剤に焦点を当てることが基本ですが、生活習慣の改善や合併症・フレイル予防も考えた指導を行うことも必要と唱えます。本症例は生活面へ一歩踏み込んだ介入をしたことで、治療意識の向上に成功した例です。すべての薬剤師が将来的にかかりつけ薬剤師として活躍していくことを見据え、服薬指導を行う際の参考になればと思い共有いたしました。
■一般演題『保険薬局来局患者の自宅での薬の管理方法と服薬状況の調査〜個別対応の最適化に向けて〜』
臨床において患者の自宅での薬の管理方法についてのヒアリングは行われておりますが、研究として報告されている例は少ないです。本研究では薬歴の記載項目と来局患者への調査結果から、自宅での薬の管理方法と服薬の関連性を検証し、患者に最適な服用方法の提案につなげました。また、薬袋の重要性を説明するきっかけにもし、より個々の患者に適用した服薬指導に繋げます。
■一般演題『過活動膀胱治療薬のトレンドおよび併用薬解析による選択因子の抽出』
過活動膀胱治療薬は抗コリン薬とβ3受容体作動薬があり、排尿困難や心疾患を有する高齢者での過活動膀胱治療薬の処方選択因子を抽出します。今回の調査から尿路感染症既住歴の有無や便秘薬使用の有無等が選択因子として考えられました。
■一般演題『当薬局における睡眠導入薬の処方トレンドおよび併用薬解析』
近年、新規作用機序の睡眠薬が上市され、入眠および覚醒に対する様々な作用の薬剤があります。睡眠障害は主要疾患であることは少ないため、患者の状況によって有効性よりも安全性を第一に担保する選択が重要と唱えます。処方実態を把握するため、睡眠薬の変更や年齢、併用薬の違いについて解析しました。
■一般演題『消化性潰瘍治療薬の併用処方薬による臨床的因子の比較解析』
攻撃因子抑制薬のプロトンポンプ阻害薬(PPI)、ボノプラザン(PCAB)とH2受容体遮断薬(H2B)は消化性潰瘍のみならず、薬物療法の消化器障害の副作用にも使用されますが添付文章上、消化器症状の副作用発現も示されています。消化性潰瘍治療薬の違いを把握することは、処方選択に重要であることから、併用薬の解析から消化性潰瘍治療薬の臨床的因子を比較解析しました。
■一般演題『骨粗鬆症治療薬の併用薬解析による選択因子の抽出』
骨粗鬆症は加齢だけでなく、糖尿病、慢性腎臓病などの疾患、薬剤など、様々な要因によって引き起こされます。また、骨粗鬆症には骨吸収、骨形成の2面からの異なる作用の治療薬は多様であり、何らかの因子によって一定の選択基準が抽出できれば、臨床上有用であると唱えます。そこで本研究で、骨粗鬆症治療薬の処方選択基準を検討しました。
■一般演題『高齢者施設における降圧剤の中止による血圧変動と選択される薬剤に関する調査研究』
高血圧は加齢とともに増加し、高齢者は一般に複数の患者を有しており、生理機能の個人差が大きいです。降圧剤による高血圧治療のリスクがベネフィットを上回ると判断された場合に減量・中止を検討しますが、安全性・有効性への影響を検討した報告は少ないです。本研究は高齢者施設入居者のうち降圧剤を中止した症例を抽出し、中止された降圧剤の種類と血圧の変化を調査しました。
わかばの発表内容・研究内容についてのご質問等がございましたらお気軽にお問合せください。
薬学生さんからのお問合せも大歓迎です。
以上、第18回日本薬局学会学術総会の報告でした🌱
次回の第19回日本薬局学会学術総会は2025年11月1日(土)〜2日(日)、北海道の札幌コンベンションセンターでの開催となります!
今後もわかばの学術部の活躍にご期待ください!
♯株式会社わかば ♯日本薬局学会 ♯一般社団法人日本薬局学会
♯東京薬科大学免疫学教室 ♯近畿大学薬学部臨床薬学部門医療薬剤学分野
♯横浜薬科大学レギュラトリーサイエンス研究室